2021年賞金女王・稲見萌寧のベストバウドを振り返る!
弱冠22歳にして、ツアー通算10勝を挙げ、2020-21シーズンの賞金女王に輝いた稲見萌寧。東京オリンピックでの活躍をはじめ、彼女にとっての2021年は輝かしい実績を挙げた年になりましたが……そんな彼女が輝いたJLPGAツアーを振り返ってみましょう。
稲見萌寧2021年ベストバウドその1:ヤマハレディースオープン葛城
2021年のシーズン緒戦となった明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメントで永井花奈とのプレーオフを制して、3勝目を挙げた稲見萌寧が2週間後に迎えたのが、このヤマハレディースオープン葛城でした。
このツアーでは決勝ラウンドの2日間を66で回り、最終日は首位の山下美夢有から3打差という好位置からスタート。ラウンドを終えるごとにジワジワと山下を追い詰めていった稲見は最終の18番ホールでバーディーを決めて、通算12アンダーで逆転優勝を果たしました。
ツアー4勝目を挙げただけでなく、この時のスコアはトーナメントレコードを大幅に更新するおまけ付き。彼女を勢いづけるキッカケとなるツアーになりました。
稲見萌寧2021年ベストバウドその2:中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン
東京オリンピックまで残り1ヶ月に迫った中で行われたのが中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン。日本代表として選出されるのは2名で、うち1名は畑岡奈紗で確定。稲見萌寧が代表入りを果たすにはブリヂストンレディスオープンでの優勝が求められていました。
降りしきる雨のため、大会開催が2日間協議に短縮されるなど異例づくめのツアーとなりましたが、稲見の集中力はそんなことでは途絶えず、ツアー初日からエンジン全開。JLGPAツアーでは最多となる1ラウンド13バーディーを達成し、18ホールの最少ストローク数61というツアータイ記録を打ち立てました。
最終的に安定したゴルフを見せ、終始危なげなく進んでいった結果、2位以下を大きく離して圧勝。ツアー通算7勝目を挙げるとともに、世界ランキングを大幅に上げた結果、日本人では畑岡奈紗とともに東京オリンピックの切符を手中に収めました。
稲見萌寧2021年ベストバウドその3:日本女子プロゴルフ選手権大会
ツアー前半の勢いのまま、東京オリンピックでも銀メダルを獲得。その後も衰えることなく勝ち星を積み重ねてきた稲見萌寧ですが、JLGPAツアー伝統の一戦である日本女子プロゴルフ選手権大会でもそれは変わりませんでした。
最終日の内容は64ストローク。8バーディー、ノーボギーという完璧なラウンドでスタートから全く隙を見せない圧倒的なゴルフで彼女自身も「うれしい。4日間、楽しくプレーができた」と語るほど。ここまで完璧なゴルフを見せると、2位の西郷真央に4打差をつけた圧勝だったこと、大会新記録となった通算19アンダーももはやかすんでしまうほどです。
ちなみにこの大会を制したことでシーズンの獲得賞金が史上2人目となる2億円の大台を突破。賞金女王争いを確実にリードしていくようになりました。
稲見萌寧2021年ベストバウドその4:伊藤園レディスゴルフトーナメント
日本女子プロゴルフ選手権大会の優勝後、腰痛を発症したため本来のプレーができず優勝から遠ざかってしまった稲見萌寧。しかし賞金女王の座を掴むためにはなんとしてももう1勝が求められる状況でしたが、その中で意地を見せたのが伊藤園レディスゴルフトーナメントでした。
これまでは最終日に巻き返すことが多かった稲見ですが、このツアーでは2日目に首位に立つと跡は差を詰められるどころか差を広げる一方という圧倒的なゴルフを見せ、気が付けば2位に9打差をつけるというブッチギリの圧勝でシーズン9勝を挙げ、ツアー通算10勝目をマークしました。
ちなみに22歳108日でのツアー通算10勝達成は宮里藍(20歳105日)に次ぐという超スピード記録。そしてこの後のリコーカップで9位に入り、獲得賞金は2億5519万2049円で見事に賞金女王の座に輝きました。
text=福嶌弘 illst=シロタ千翔