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スペシャルインタビュー③あの時の勝利から続く時間 今野康晴とカーセブン

宍戸ヒルズカントリークラブ・西コース。この名を聞いて、身構えずにいられるプロは多くない。「西コースか、と思って。正直、簡単なイメージはないですね」。カーセブン プロアマゴルフカップの組み合わせ表を目にした瞬間、今野康晴の口からこぼれた言葉だった。

理由を並べる必要はない。西コースは、男子ツアーのメジャートーナメントを長年開催してきた舞台だ。ここでプレーしてきた選手ほど、その難しさを感覚として知っている。今回はシニアとしての出場だった。

「ティーが前に出ていて、距離も少し短かったので。その分は助かりました」。

条件は変わった。だが、コースの本質まで変わるわけではない。その違いを確かめるように、ゲストとのラウンドを楽しんでいた。今回で6回目の参加。初出場は2019年、第2回大会の相模原ゴルフクラブだった。

「そこから毎年、呼んでいただいています」。淡々とした口調だったが、この大会に継続して招かれていることを、静かに誇りに感じているようだった。

カーセブンとの縁は、さらに時をさかのぼる。2002年、男子ツアー「アイフルカップゴルフトーナメント」。今野はこの大会で優勝し、副賞としてカーセブンの車を手にした。

「あのとき、井上社長と一緒に写真を撮っていただいたんです」。だが、その一場面が、二十数年後、再び同じ名前のもとでつながっている。

日本シリーズ、中日クラウンズ、三井住友VISA太平洋マスターズ。プロなら誰もが勝ちたい大舞台で、結果を残してきた。特別な約束があったわけではない。ただ、時間が流れ、その中で縁だけが残った。

シニアツアー2年目のシーズンを、「前半は、比較的良かった」と振り返る。春から夏にかけては、最終組で回る試合もあり、スコアボードの上に自分の名前がある位置でプレーする感覚もあった。

一方で、後半は思うように続かなかった。「もう少し、上に行けたらという思いはありますね」。大きく崩れたわけではない。ただ、流れが変わった。そのことを、自分自身がいちばん理解している。

ティーショットのあと、残るのは100ヤード前後。レギュラーツアーとは異なるセッティングの中で、止まる。戻る。寄らない。シニアに転じた当初、思い描いていた距離感とは、微妙にずれていた。

「100ヤード以内って、こういう意味で大事なんだなって」。そう口にした表情には戸惑いはなく、シニアツアーとの向き合い方が、少しずつ見えてきたように見えた。

来季の目標を尋ねると、少し間を置いてから「そろそろ、優勝したいですね」と答えた。

強く言い切るでもなく、構える様子もない。その一言には、これまで積み重ねてきた時間が静かに込められていた。