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世代屈指の実力派。勝みなみのクラブセッティングをチェック!

女子ゴルフ黄金世代で最初にツアー優勝を果たした勝みなみ。学生時代から黄金世代のトップをひた走る一方、独自のスタイルを貫く孤高のプレースタイルも大きな注目を集めています。そんな彼女を支えるクラブセッティングを調べてみました。

ポテンシャルは世代最強!? 勝みなみのプレースタイルとは?

女子ゴルフ界を牽引する黄金世代の選手たちの中でいわゆるスタープレーヤーと言えば、全英オープン優勝を果たした“しぶこ”こと渋野日向子やバラエティ番組の出演で人気に火が付いた原英莉花らが挙がりますが、この世代で最初にツアー優勝を果たしたのは実は勝みなみだというのはご存じでしょうか?

この世代でも屈指の実力派ゴルファーとして知られる彼女はその頭角を現した時期も早く、最初のタイトルは小学6年生の時に優勝した全国小学生ゴルフトーナメント。中学では全国中学校選手権春季大会、九州女子選手権で優勝と同世代に敵なしの実力を誇りました。

彼女の名前が一気にクローズアップされたのは2014年のKKT杯バンテリンレディスオープン。アマチュア選手として出場しましたが、このツアーで彼女はプロ顔負けのショットを連発しなんと優勝。当時15歳293日での優勝はJLPGAツアー史上最年少の記録となりました。

その後も順調にキャリアを積み、高校卒業後の2018年から本格的にツアーに参戦。この年の大王製紙エリエールレディスオープンでプロ初優勝を飾るなど、これまでにツアー通算4勝(プロでは3勝)を記録しています。

彼女の魅力と言えば、そのプレースタイル。中学卒業時、ゴルフ部のある全国各地の強豪校からのオファーを「ほかの分野の人との交流も大切」という理由で断り、地元・鹿児島のゴルフ部のない高校へ進学し、個人で大会に参戦。充実した環境を誇るゴルフ部強豪校での練習ではなく、自身で考え、独自のメニューで練習を積み重ねるといったスタイルが話題を呼びました。

そんな彼女のクラブセッティングもまた個性満点。その中でも今回は2021年の明治安田レディースでのクラブセッティングを勝みなみ自らのコメントと共に紹介していきましょう。

誰も真似できない!? 感覚最優先のセッティング

ドライバー、FWなどシャフトにこだわりが……※画像はイメージです

○ドライバー
スリクソンZ785(10.5度)
ディアマナ B50(硬さS、長さ45.25インチ)

勝みなみは他のゴルファーとは異なり、自身の感覚を重視したクラブセッティングをすることでもおなじみ。そのため気に入ったクラブは何年も使い続ける傾向がありますが、唯一頻繁に変えるのがドライバー。今回はスリクソンZ785でしたが、以前はゼクシオXを使用することもありました。

この点について彼女に伺うと「感覚が一番大事なので、その時のフィーリングや使いやすさで替えています。スリクソンZ785はハードでちょっと難しいクラブなのですが、最近は私自身のヘッドスピードが上がってきて、スリクソンZ785の方が合ってきたので、こっちにしてみました」ということでした。「もともとシャープなデザインで小さな顔のドライバーが好み」というのもスリクソンZ785を選んだ理由として挙げてくれました。

ちなみにゼクシオXを使っている際はドライバーに鉛を貼り、ボールが左に行かないようにという工夫を凝らしていましたが、スリクソンZ785でも「手元が軽い」と感じたため、グリップの下の方に1グラムの鉛を入れて微調整を加えています。

シャフトは小学生時代から三菱ケミカル製のものを使用しているということで、現在もディアマナB50を愛用していますが、今年から「ヘッドスピードが上がったため、SRだと柔らかすぎる」ということでSRからより硬いSに変更。この点からも彼女のスケールアップが伺えます。

○FW&UT
スリクソン ZX(5番18度)
スリクソン ZX7(4番22度)

以前までは3番ウッドを入れていたのですが、今回は3番ウッドを外して4番アイアンを新たに投入するなど、ドライバー同様に変更してきました。「3番ウッドをほとんど使わなかったというのもありますが、5番ウッドでロングの2オンが狙えるようになってきたので、それなら間の20ヤードを埋められる4番アイアンをプラスすることにしました」と、この変更の理由について教えてくれました。

変更点はシャフトにも。以前まではディアマナDF50を使用していましたが、今回からは三菱ケミカルのTENSEIシリーズの新商品を使用。「手元が硬くて先が柔らかいシャフトなので、コックを使わないスイングの私向きかなと思います」ということで今回から変えてみたそうです。

以前からシャフトに対しては「特にこだわりはない」という彼女ですが、ドライバーもあわせるべく、このシャフトにして練習に臨んでいたそうですが、まだしっくりこないという理由でドライバーは異なるシャフトに変えることに。フィーリングが合い、気に入ったものを長く使うタイプの彼女ですが、新しいものが出るといろいろ試し、いかに自分に合うか合わないかを突き詰める彼女らしいセッティングと言えるでしょう。

○アイアン
スリクソン Zフォージド (5番~PW)

アイアンは2020年から新しくスリクソンZフォージドを使い始めましたが、女子プロゴルファーには珍しくマッスルバックタイプを使用しているのが特徴的です。

昔ながらのアイアンの形状であるマッスルバックはキャビティバックと比べるとスピン量を自分で調節できるなど操作性が高いのが魅力ですが、その分、打点はかなりシビア。ですが、彼女は「私は(クラブヘッドを)上から入れるタイプなので、キャビティバックはスピンがかかりやすいので合わなくて。それでマッスルバックを選んでいます」と、自身に一番合ったものをチョイスしています。

ちなみにフォージドについては「形(デザイン)がいいものが好みなので、(フォージドは)かなり使いやすいし、どういう球になるかイメージしやすいんです」とかなり満足している様子。自身のフィーリングにピタリとハマっていることが伺えます。

○ウェッジ
クリーブランドRTX4ブラックサテン(50度、54度、58度)

「以前はピッチングと52度のウェッジを入れていたけれど、その間が開くのでどうにか埋めたいと思って」ということでメーカーに相談した際にウェッジを3本入れることでその問題を解決しています。

ちなみに以前までは彼女のオリジナルデザインが入ったものを使用していましたが、今年から新たに使っているウェッジのデザインはこれまでとは異なりノーメッキに。昨今では珍しい無垢なデザインにしましたが、これは「ノーメッキだとスピンがかかりやすくなるので、メーカーさんに作ってもらいました」という彼女のオリジナルです。

実際に使用した感想を伺うと「キモチ(スピンが)かかりやすくなっている感じがします」とのことでした。ただ、金属部分がむき出しになる形なので、プレー後のメンテナンスは従来よりも時間を掛けて行うようになったというこぼれ話も聞かれました。

○パター
オデッセイ オーワークス#1

以前まではタイトリスト スコッティキャメロンプロトタイプも使用していましたが、「10ヤード転がしたいときにどっちが合うか試してみたら、こっちでした」ということで2年ほど愛用しているというオデッセイ オーワークス#1をチョイス。「打ったときの感触がないパターが好み」という彼女の好みと「慣れているので、感覚が合う」という理由からピン型のものを使用しているのが特徴的です。

自分に合わないクラブは使わないというポリシー

いかがでしたか? これまで紹介したゴルファーたちとは異なり、個性的なセッティングが目立った勝みなみ。インタビュー等では特にこだわりがあるとは語っていませんが、確かなのは「自分に合わないクラブは絶対に使わない」という確固たる意志。いろいろなクラブを試して打って自身のフィーリングに合うものだけをチョイスした結果がこのセッティングにつながったと言えるでしょう。

ちなみに彼女に今後のセッティングの展望を伺うと「クラブのバランスを変えようかなと考えています。今は手元を重くしていますが、先端を重くすることで振りやすくして、バックスイング時に手元が動くので、バランスを改善することで防ごうと思っています」と押しててくれました。

彼女のセッティングをまるまる参考にするのは難しいかもしれませんが、自身のセッティングを見直す際、使いやすいかどうかを念頭に置いたある種シンプルなセッティングをすることでスコアアップが期待できるかもしれません。最近スコアが伸び悩んでいる際は彼女の考え方を参考にしてみてくださいね!